江戸時代の身分は固定されていた訳ではない

家系図 ルーツ

第15

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1.家系図ニュース~幕臣だった家の様子を知ることが出来る本
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

「戸籍コース」で依頼を受けている、あるお客様の『歴史探訪報告書』(私の経験・知識と、戸籍取得で得られた情報やお客様の家に伝わる言い伝えなどを基にその家の出自を想定するレポートです)の作成に入ろうとしているところです。

色々と考えていくと、こちらの家は江戸時代には幕臣だったのではないかと思われてきました。つまり、徳川家の武士ということです(そう想定した根拠もここで書けると面白いのですが、個人情報に関る部分もありますので割愛させていただきます)。

そこで、ここ数日、幕臣についての本を色々と読んだりしていたのですが、分かりやすく面白い本がありましたので紹介させていただきます。

『幕末下級武士のリストラ戦記』 (文春新書) 安藤 優一郎 著
https://www.amazon.co.jp/dp/4166606794/ref=nosim/?tag=marujimubiz-22

幕臣は、大きく「旗本」と「御家人」に分かれますが、御家人であった山本政恒という幕末から明治にかけて生きた武士の絵日記を紹介しています。

徳川家はご存知のとおり、大政奉還をして所領を700万石から70万石まで減らされて何とかお家取り潰しだけは免れました。しかし、所領が10分の1に減らされたということは、家臣を今までどおり雇い続けることは不可能ということでもあります。
当然に「リストラ」も行なわれます。

何やら現代の世相と似たものがありますが‥そんな激動のなか、この下級武士がどのように生き抜いていったかというドラマとしても楽しめますし、幕末から明治にかけての世の中の動きも見えてきます。また、本人が書いた絵も多数掲載されていますので、当時の状況をリアルに知る事もできます。ご先祖様が武士だったという方には、特にお薦めの一冊です。


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当事務所では「人権」については充分な配慮をして家系調査を行なっています。人権侵害に当たるような調査、他人の身元調査は受け兼ねますのでご了承ください。


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2.江戸時代の身分は固定されていた訳ではない
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ところで、上記の書籍『幕末下級武士のリストラ戦記』にも書かれている事ですが、江戸時代というのは必ずしも身分が完全に固定されていた社会ではありません。学校教育の影響なのでしょうか、私も家系調査の仕事を始めるまでは、江戸時代というのは「農民なら代々、永遠に農民」「武士なら代々、永遠に武士」という刷り込みがありました。

しかし、幕臣の中でも御家人の地位は、その『株』を購入することで農民でも武士の仲間入りが出来ました。
同書によると、その株の価格の相場は「500両」(=数千万円)であったと書かれています。確かに大金ではありますが、裕福な農民であれば購入することも出来ます。

農民が全て困窮していたというのも学校の授業の影響でしょうか、そのように思い込みがちですが、裕福な農民も多く存在していました。そして、裕福な農民は油屋などの商売も行い、さらに裕福になっていくというパターンも定石です。ですから、農民が商人になる(というより、商人を兼ねる)という身分の移動も頻繁にあります。

何であれ武士身分もお金で買えるのですから、やはり世の中なんでも「金」であるという事のようで‥

逆に武士から農民になる人もいました。
どこの藩だったか(確か越後の高田藩)に残る古文書を読んでいたときに、ある武士が事情により農民になる旨が記載されたものがありました。

ですから、先祖調査で「我が家は武士だったらしい」ということで記録を追っていても、あるところでぷっつりと切れている可能性もあり、そういう場合にはそれ以前は農民であり、実は宗門人別帳などの方で追わなければ記録に行き当たらない~ということもあり得る訳です。逆もしかりです。

‥という訳で、江戸時代の調査をする際には「身分が途中で変わっていることもあり得る」ということを覚えておいたほうがよいでしょう。