明治時代の「地価一覧表」と江戸時代の「絵地図」を使ってご先祖様を発見

家系図 ルーツ

第26

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1.家系図ニュース~長野県の某所で古文書閲覧
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

今週は、長野県に出張をしまして古文書の閲覧をしてきました。
「200年コース」の案件ですが、安政年間(1854~1860年)の宗門人別帳がありまして、そこに最古の戸籍に記載されていたご先祖様のお名前を見つける事が出来ました。

宗門人別帳には、戸籍の情報だけでは得られない情報もたくさんありました。戸籍では最古のご先祖様はお名前だけしか分かりませんが、その宗門人別帳にはその方の年齢も載っていましたから宗門人別帳の制作年から逆算して生年も判明しました。

また、その方の母親のお名前も記載されていましたし、お子様も記載されていました。飼っている馬の情報までもが記載されていました。なかなか良い成果を得られた出張でした。

思っていたよりも早く作業は終わったのですが、帰りの電車の乗り合わせが悪く1時間ばかり現地で時間をつぶさなければならなくなり、蕎麦屋さんに入りました。信州のお蕎麦はやっぱり、おいしいですね!

現地調査では、大体は時間に追われてご飯を食べることもままならないものですが、たまにはこうしてゆっくり「食」を味わいたいものです‥今、長野県の「200年コース」が重なっていますので、あと3回くらいは長野出張がありそうです。果たして、今後もおいしいお蕎麦が食べられますかどうか。


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当事務所では「人権」については充分な配慮をして家系調査を行なっています。人権侵害に当たるような調査、他人の身元調査は受け兼ねますのでご了承ください。


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2.明治時代の「地価一覧表」と江戸時代の「絵地図」を使ってご先祖様を発見
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さて、以前のメルマガで、ある「200年コース」の案件において、ご先祖様が住んでいたであろう地域の絵地図(弘化年間作成のもの)を発見した。

その絵地図には道や川だけでなく各家のある場所に当主の名前も書いてある。某藩の足軽をしていたので苗字も記載されている。つまり、そこに同姓の家を発見できれば、それがその家のご先祖様であろうことが想定できる。‥ところが、同姓の家が3軒あり、どれがご依頼人のご先祖様の家なのか分からず地団駄を踏むことになった、という話を書いたことがありますが、覚えていらっしゃいますでしょうか?バックナンバーは下記にありますので、よろしければ↓
https://www.5senzo.net/720.html

この案件のその後を書いてみたいと思います。
この案件においては、最古の戸籍によりご先祖様は城下町の某町に住んでいたことは分かりました。その町名は現在も字名として残っています。ところが、よくよく調べてみますと、最古の戸籍に記されたその町名と現在の字名として残っている地域とが必ずしも一致していないことが分かってきました。

役所で確認しても、その旧某町は現在はいくつかの字名の地域に含まれることは分かるが、正確に現在のどこの場所を指すかまではもはや分からないということです。絵地図と照合しようにも、戸籍に記された最古の本籍地がどこかを特定できなければ正確な照合が出来ません。

困っていたのですが、現地の某文書館で有益な資料を発見できました。それは、「○○市修正宅地価一覧」というタイトルのもので明治時代に作成されたものです。

実はこれは目指す某町(最古の戸籍に記された町名)のものだけでなく、周辺10町くらいを含んだものです。これには地番が振られた地図があり、それとは別に各地番の所有者名と地価が一覧になった表が付されています。

残念ながら地図の方に、各町の区切りは一切表示されていません。ですので、それを見ただけでは目指す町の区域が特定できません。しかし、町名では区切られていないものの、地番は正確に振られています。

そこで、「所有者名と地価」の一覧の表から目指す町の人の分のデータだけを抜き出し、それを地番が振られた地図上にマーキングしていきました。非常に地味な作業ですが、それを延々と繰り返してやっていった結果、最古の戸籍に記載されていた町名の地域を完璧に地図上に書き表すことが出来ました。

そうして出来上がった、その町の区域を表した地図と、現在のその地域周辺の地図を縮尺を合わせていったところ、その最古の戸籍に記された町が現在のどこなのかを完全に再現することが出来ました。確かに、現在の複数の字名にまたがり、かつ各字の全部ではなく一部を形成していることが分かりました。

さて、ここからが問題です。
一方の弘化年間の絵地図(郷土史に写真掲載されていた)と見比べてみたのですが、どうやら、その絵地図は私がマーキングした旧町地域とは若干ずれているようなのです。

つまり、その絵地図に載っている同姓の家は、実はご依頼人のご先祖様ではないという事が分かってしまいました。しかし、そこでがっかりしている場合ではありません。文書館で、私がマーキングした部分に該当する場所を表した江戸時代の絵地図はないものかと探しまくりました。

そして‥ありました!
そもそも、郷土史に掲載されていた絵地図は、その城下町全体の絵地図のほんの一部分だけを抜き出したもので、他の地域の絵地図も全て存在していたのです。今度は、それら膨大な数十枚に分かれた絵地図がそれぞれ現在ではどの地域を表しているのかの確認を始めました。それぞれの絵地図には寺、神社、橋などの名称が記載されていますから、お城を中心にして現在も残る寺、神社、橋の情報を元に並べていきます。ほとんどパズル状態です(笑)。

そして、ついに私がマーキングした部分(ご依頼人のご先祖様が住まわれていた地域)の絵地図を探し当てました。むさぼるように、そこに書かれた当主の名前をひとつひとつ読んでいきます。くずし字ではありますが、やがてご依頼人と同姓のお名前を一つ発見しました。そして、他に同姓の家はないか、ゆっくり確かめていきました。他にはもうありません。しかし、これだけではまだ本当にその家のご先祖様なのか完全には確信できません。

次に、その藩の足軽の名簿を探し出しました。
その絵地図内の同姓の人物がご依頼人のご先祖様であれば、その足軽名簿に記載されている筈です。そして‥やはり、そのお名前がありました!住所、職業と二つの要素で一致しましたので、これで、その家のご先祖様と考えられます。

足軽についての名簿というのは、実は存在していないことが多いのですが、この藩の場合にはそれが残っていたのが幸運でした。そうでなければ、なかなか確信が持てませんので。