商人のご先祖探し~分家とは?別家とは?~

家系図 ルーツ

第54

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1.家系図ニュース~年内はあと「大阪」「鳥取」に家系調査に行きます
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

いつの間にか年も押し迫ってきましたが、12月に入っても調査で全国各地を飛び回っています。ここのところ、東北の案件が続き現地調査を行っているのですが、この時期の豪雪地帯の調査は本当に危険です。先日も助手が東北の夜の山道を走行中に雪に降られてしまいました。もし、その状態で動けなくなったら凍死しかねません。

…という訳で、年内はあと現地調査は「大阪」と「鳥取」という西日本だけにしました。鳥取の方は、かつて庄屋を務めていたお宅に個人所蔵されている古文書を拝見させていただきに行くのと、行政機関に所蔵されている旧藩士の家の古文書を閲覧してきます。

まだ、農民だったのか武士の家だったのかがはっきりしません。今回の調査で何とか解明したいと思います。大阪の方は、図書館に所蔵されている某町の「水帳」を閲覧します。

町人の水帳は、家(店)の間口などが記載されていて、要は課税台帳のようなものです。農民の検地帳も「水帳」と呼ばれることもありますが、やはり課税対象(石高)を検査・記載しているものですから性質としては町人の場合も農民の場合も「水帳」というのは同じものといえますね。


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当事務所では「人権」については充分な配慮をして家系調査を行なっています。人権侵害に当たるような調査、他人の身元調査は受け兼ねますのでご了承ください。


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2.商人のご先祖探し~分家とは?別家とは?~
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さて、前号で「東京」「京都」「大阪」という都市部の調査を行っているという事を書きました。京都の案件は無事に調査を終えて家系図も完成しました。大阪は年内に古文書調査で戸籍を超えたご先祖様を判明させたいと思います。

東京の案件は、文献調査と菩提寺のご協力により既に戸籍の範囲を超えてご先祖様名も職業も明らかになっています。但し、少し謎が残っていますので今後さらに詳細に解明できればと思っています。

さすがに都市部だけあって、この三つの案件ともご先祖様は商人という結果になりそうです(京都、東京は既に確定。大阪だけがこの後の調査結果いかんですが、おそらく商人であろうと考えています)。

さて、そうした江戸時代に商人だった家の古文書を見ていますと「別家」という言葉に出くわすことが多々あります。実は「分家」のことを「別家」と呼んだりすることもあり混同されている事がありますが本当は違います。

特に商人の場合で「別家」と古文書に書かれている場合は、いわゆる兄弟などが分家することを指すのではなく、奉公人が「暖簾分け」で独立することを指します。

これまで手掛けた商人の家の案件でも、古文書のご先祖の名前の横に「別家」と記載されていた事がありました。そう書かれているという事はそのご先祖様は丁稚奉公という形でそのお店に入り、その後、手代・番頭を立派に経て暖簾分けを許されたのだという歴史が読み取れることになります。

昔は、丁稚奉公する際には郷土の人間関係を頼ることが多かったですから、その元のお店の主人の出身地が分かると、そこから別家(暖簾分け)した自分のご先祖様もおそらく同じ土地の出身であったのだろう~などと推測することが出来ます。しかし、一つ注意したいのが前述のように「分家」と同じような意味で使用されることがあるという点です。

たとえば、菩提寺の過去帳の中で自分のご先祖様のお名前の横に「定兵衛から別家」などと書かれていた場合、果たして定兵衛が父親で分家をしたという事なのか、それとも店の主人で暖簾分けをしたという事なのかよく分からないという事態になります。

しかし、そういう場合は落ち着いて他の記録も見ていきましょう。商人が多い地域のお寺であれば、他にも商人の檀家がたくさん記載されている筈です。

歴代のご住職が「分家」と「別家」をきちんと使い分けているのか?それとも、分家のことを「別家」と書いているのか?もし、きちんと使い分けている事が分かれば「別家」と書かれている場合には、自分のご先祖様が丁稚奉公し、苦労と努力の末に立派に暖簾分けしてもらえたという事が見えてきます。