落人は「家紋」も「苗字」も変えてしまう

家系図 ルーツ

第57

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1.家系図ニュース~気分は「佐幕派」のまま萩市に出張
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

今週は萩市に2日間、現地調査に行っていました。萩市といえば長州藩ですから幕末維新はまさに激動の地だった訳で、あちこちに歴史を感じさせる史跡や志士の生誕地などがあります。城下町は今も武家屋敷の面影を残している場所も多く、萩市内に入ると気分は「幕末」です。藩校の明倫館の建物などもいい味を出していました。

気分といえば、この萩市への出張前から現地へ向かう新幹線・バスの中でも私は新選組関連の小説を読んでいました。今回読んでいたのは森村誠一著の『新選組』ですが、ちょうど近藤勇、沖田総司ら五人が池田屋に斬り込み、20~30人を相手に斬りまくるあの場面を読んでいました(しかし、これが事実なのですから凄いですね!)。

斬りまくる相手は倒幕派の長州系志士たち。そんなものを読んで長州に乗り込んだ訳ですから、私の気分は完全に佐幕派になっていまして(笑)敵地に来たような気持ちでした。

それにしても…男性というのは先を見通せる視野の広い坂本龍馬にも惹かれますが、一方で新選組のような「滅びの美学」とか「自分の腕一本」の世界にも惚れてしまいますね。(倒幕派の方々からは反論されそうですが…)

司馬遼太郎の『新選組血風録』も読み始めています。う~ん、やはり面白いですね。

さて、来週は和歌山県と静岡県に現地調査に行ってまいります。なぜか現地調査が重なってしまい、忙しくなってきました。歴史・時代小説をたずさえて旅を続けます…


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当事務所では「人権」については充分な配慮をして家系調査を行なっています。人権侵害に当たるような調査、他人の身元調査は受け兼ねますのでご了承ください。


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2.落人は「家紋」も「苗字」も変えてしまう
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苗字が地名と深く結びついている事はご存知のとおりです。
 
中世の頃であれば、豪族のなかでも分家して別の場所に土着するとその一族は土地の名前を新たに「姓」として名乗り始めます。それにより、新たな姓(苗字)が一つ生れる訳で世界的にみても日本は苗字の種類が突出して多いのは、こうして同族でありながら土地を変わるごとに新たに苗字を生んでいったことも大きな要因といえるでしょう。

また、ある姓を持った豪族がその土地に住み着いたので、その姓がその土地の地名になるという逆パターンもあります。しかし、圧倒的に前者(土地の名前を姓として名乗り始める)のケースの方が多いですね。

さて、それとは別に意図的に苗字を変えていった家というのもあります。調査中の「200年たどるコース」「400年たどるコース」の案件絡みでも、そのようなものが2つばかりあります。差し障りがありますので具体的な地名、苗字を出せないのが残念ですが、豪族だった家柄で戦国時代に合戦で敗れてある農村地帯に隠遁します。その際に苗字や家紋がそのままではまずいので母方の苗字に変えているのです。

各地域の戦国時代の負け組の豪族の行く末を調べると、そうした事例はいくつも出てきますし、現地調査で飛び込みである旧家に話をうかがった際に「うちは、戦国武将の○○家の末裔なんですが、○○の戦に負けてこの地に逃げてきたので、その際に家紋を変えているんですよ」などという言い伝えを聞くこともあります。

平安時代から戦国時代まで日本には数知れぬほどの戦があります。その戦の数だけ敗者が存在しています。敗者は何らかの形で逃げ伸びますし、逃げたらそのままの苗字、家紋ではまずいのは当然です。ですので、意図的に苗字、家紋を変えているという事は意外によくあるという事になります。

自分が今、名乗ている苗字が戦国時代になると実は全く違う苗字であったという事も充分にあり得るのだと思っておくこともご先祖様探しでは大事ということです。

それにしても面白いのは「母方の苗字を名乗る」というケースが複数あることです。落人になり、どうせ身元を隠すのであれば全然関係ない苗字なり家紋にすれば良さそうなものですが、不思議と母方のものを使ったりします。

それだけ、全く関係のない苗字や家紋を使うというのは、どこか落ち着かないという事でもあり、全くご先祖様の痕跡を消してしまうということは心情的に申し訳ないという想いがあるのでしょうね。

ちなみに…、落人になり農民として暮らす場合は苗字を名乗らないのだから苗字を変える必要などそもそもないのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、江戸時代の農民も苗字を持っていない訳ではありません。堂々と名乗ることは許されなかったというだけの話であり、神事などの際には村中の農民が苗字をはっきり記載している例なども多く発見されています。

農民であっても大体は自家の苗字は認識していたものと考えられます。