古い墓石の「拓本」を取って過去帳と照合する

家系図 ルーツ

第62

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1.家系図ニュース~今週は北陸に現地調査に行ってきます
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

いつの間にか、当メルマガの読者数が5000人に近付いています。
戸籍で分かる範囲を超えて江戸時代やそれ以前のご先祖様探しを行うノウハウを伝える~という、とんでもなくマニアックな内容でありながらそれだけ多くの方が読んでくださっている事に本当に驚いています。

今後も有益な情報を発信できるように日々、頑張って調査を続けていきたいと思います。

さて、今週の私は北陸に現地調査に行ってまいります。今回は現地の行政機関に所蔵されている古文書(主に藩の記録)の閲覧をするのが主になります。天気予報を見ますと、どうやら雪も降りそうですので温かい服装で出かけて風邪などひかずに帰ってきたいと思います。また、雪で転んで怪我などしないように注意して行ってまいります。


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2.古い墓石の「拓本」を取って過去帳と照合する
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さて、前号にて中部地区の「400たどるコース」が大きな進展を迎えそうだという話を書きましたが、さらに前進がありましたので報告します。

まず、この案件では現地に残る総本家とは連絡が取れたものの、なかなかその総本家のご当主に協力を得られずにおりました。しかし、先日直接に訪問させていただきお話をしましたところ信頼を得ることが出来まして、できるだけご協力をしますよと有難いお言葉をその後、いただきました。

ところが、総本家のほうでも自家が江戸時代からその土地にいたのか?あるいは明治時代の初めに他所から越してきたのか?それも不明だということです。自家に過去帳・家系図も残っておらず、戸籍で判明しているご先祖様(幕末生まれ
の方)以上のお名前は一切分からないとのことです。

しかし、お墓を見せていただきましたところ江戸時代に造られたであろう墓石が多数ありました。もちろん、墓石に刻まれた文字は長い期間のあいだに削れてしまっており肉眼では判読できません。

こういう時に威力を発揮するのが『拓本』です。拓本というのは、このように表面が削れてしまって肉眼では判読困難な文字を読み取るための技術です。肉眼では読めなくても窪みが僅かでもある以上、拓本を取れば大体は読むことが出来るようになります。

拓本は「魚拓」とは違い、被拓物に直接に墨を塗るようなことはしませんので大事な墓石を傷めたり汚したりすることもありません。それでいながら紙の方に文字を浮かび上がらせることが出来ます。

ただ、江戸時代の墓石には戒名と没年月日は書いてあっても俗名が書かれていることはまずありません。しかし、それでも拓本を取ることには大きな意味があります。

菩提寺の方にいけば過去帳があります。過去帳には武士の家以外は江戸時代中は苗字が記載されていません(ちなみに、お寺にある過去帳というのは檀家の死亡記録簿のようなものです)。

しかも、過去帳というのは家ごとにまとまっている訳ではなく、檀家すべてを没年月日ごとに順次記載しているのが基本です。つまり、苗字もない以上、過去帳に記載されている人々のうち誰が自家のご先祖様なのかは分かりづらいということになります。

しかし、過去帳は没年月日と戒名ははっきりと書かれています。そして、戒名の下に当主であれば俗名が書かれています。ですので、古い墓石の拓本を取り、そこに記載されている没年月日と戒名を写し取り、菩提寺の過去帳と照らし合わせることにより苗字の記載がなくても過去帳内の誰が自家のご先祖様なのかということが明確に分かることになります。

古い墓石の拓本から得られる情報 + 菩提寺の過去帳の記録

この二つの合わせ技で戸籍も苗字の記録もない江戸時代中のご先祖様探しが可能になるという仕組みです。…という訳で、件の総本家のご当主に「お墓の拓本を是非、取らせていただけないでしょうか」と、先日お願いいたしましたところご快諾をいただけました。

拓本というのは雨や風の強い日は取れません。そこで、「いつと日付は決められませんので、天気の良い日にふらっと出かけて取らせていただく事になるのですが…」と、説明しましたところ、こちらについても、いつでもいいですよとお返事をいただく事が出来ました。

さて、この江戸時代中にどこに住まわれていたかもまだはっきりしない「400年たどるコース」ですが、拓本を機に一気に江戸時代へと突き進んでいきたいと思います。また、進展がありましたら報告をさせていただきます。

そういえば、ここのところ拓本を取る機会がありませんでした。腕が衰えているかもしれませんので、自分の家のお墓で少し練習しようかなと思っています。