1年かけて情報を得ることもある

家系図 ルーツ

第91

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1.家系図ニュース~明治初期の「自分で姓名を書ける」割合は?
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こんにちは、行政書士の丸山学です。

前号で、明治時代の戸籍には転記ミスで人名の書き間違いも多いという話を書きました。しかし、これは「くずし字」による転記ミスだけが問題ともいえません。

某調査である郷土史を読んでいましたら、その地域の明治12年時点での「自分で姓名を書ける者の割合」という興味深い統計が掲載されていました。

それによれば、自分で姓名を書ける人の割合は約32%です。転記ミスで戸籍内の人名が書き間違えられる上に、自分の姓名が書けない人が6割超もいる状態では「間違いに気づかない」でそのまま放置されてしまうケースが多いといえます。

現代であれば、自身や親族の戸籍上の名前に記載ミスがあればすぐに気づき訂正をするところですが、そうはならなかったという事ですね。現代の感覚で物事を考えてはいけないのだと改めて気づかされる統計でした。


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2.1年かけて情報を得ることもある
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戸籍で分かる範囲を超えて先祖探しをする際に重要になってくるのが、菩提寺の記録です(過去帳など)。 しかし、昨今はそうした記録も簡単に開示してもらえる訳ではありません。宗派によっては、たとえ檀家であっても見せてはいけない~という通達が出ていることもあります。

それも仕方ないところで、過去帳には一家分の記録だけがまとめられている訳ではなく他家の分も混在していることが多く、プライバシーの問題にもなってくるのです。

そのため、閲覧というよりも、ご住職に必要な部分を確認していただき、その部分の情報だけを教えていただくという事が多々あります。しかし、それでさえ厚意でやっていただく事であり、信頼を得なければ教えていただけるものではありません。

ある『200年たどるコース』の案件で、1年ほど前に初めてそのお寺を訪ね、ご住職に戸籍で分かっているよりも上の代の先祖名を過去帳で調べて教えていただきたいとお願いしました。しかし、その後も電話をするなど続けていましたが、なかなかお教えいただく事は出来ずにいました。

先日、ご住職から封書が届き開封してみますと「大変、お待たせしました」
という言葉から始まり、過去帳のみならず埋葬許可証の記録なども含めて詳細な江戸期の先祖の記録を書き出してくださった手紙が入っていました。

特に明治19年式の戸籍が廃棄されてしまっている地域の調査でしたので、この記録をいただけたのは本当に助かりました。

今後、地域に残る古文書の閲覧(現在、古文書の閲覧も交渉中です)をするにあたり、ご先祖名で照合できるようになりましたので、この家のご先祖の暮らしぶりなども明らかになるかもしれません。

インターネット上の情報は本当に手軽に簡単に取り出せるようになりましたが、こうした「相手あっての情報」は余程の信頼関係を得ないと取得は難しいものです。 そこでは、やはり「人」と「人」の信頼関係を時間をかけて築いていくしかありません。