古文書を追いかけて飛騨の山中を東へ西へ

家系図 ルーツ

第143号 (2019年9月15日) ※読者数7,736人

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1.家系図ニュース~消費税増税になりますのでご依頼の方はお早めに
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こんにちは、行政書士の丸山学です。
本題でも触れていますとおり、私のほうは相変わらずご先祖調査のために走り回り、江戸時代の史料と格闘する日々ですので、どんどんと浮世離れが進んでいます(笑)

なので、来月から消費税増税があることもすっかり忘れておりました。 これから顧問税理士の先生と打ち合わせて細かい対応を決めますが、家系図作成のご依頼をされる方は出来るだけ早くお申込みをいただきますようにお願いいたします。


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2.古文書を追いかけて飛騨の山中を東へ西へ
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江戸時代のご先祖様を遡るために重要な古文書のひとつが「宗門人別帳」です。

これは江戸時代の戸籍のようなものであり、村ごとに全世帯の家族名が書き出されています(但し、この時代のことですので女性は「女房」「娘」とだけ記されている場合もあります)。
 
この宗門人別帳を作成していたのが村の庄屋(名主)です。
ですので、今でも旧庄屋宅にはこうした古文書が所蔵されているケースが結構あります。 (行政に寄贈していたり、散逸してしまっているケースもあります)

江戸期の農村地帯のご先祖探しに於いては、まずこの宗門人別帳が所在しているか、あるとして現在どこにあるのかを突き止めるのが調査の第一歩になります。所在さへ分かれば、あとはそれを見せていただく為の交渉をするだけです。

こうした旧庄屋宅が所蔵している古文書を巡って東奔西走するのが私の常です。
先週はその古文書を巡って飛騨山中を文字通り走り回ってきました。

これは中部地方の「400年たどるコース」の案件で、昨年から調査を行っています。
昨年の現地調査時に江戸時代前半に目的の村の庄屋を務めていたという家を探し当て、古文書がないかをお聞きしたところ某郷土史家にだいぶ以前に預けたきり戻ってきていないとの話でした。

実はこの案件では江戸時代中後期の部分は既にその時代に庄屋を務めていた家の所蔵する古文書により依頼人家の系図も明確になっています。しかし、江戸時代前半は別の家が庄屋を務めていたようで、400年たどるためには、江戸時代前半に庄屋を務めていた家を探し、その所蔵している古文書を見せていただく必要があるのです。

さて、その江戸時代前半に庄屋を務めたという家の古文書は、かなり前に某郷土史家に預けられたということなのですが、その郷土史家のご自宅が飛騨の山中という訳です。
 
そこで私の方で古文書を預かっている筈のその郷土史家に手紙を出し問い合わせをしました。しかし、手紙は届いたようですが返信がなく電話をしたところ「この電話は現在使われていません」のアナウンスが流れます。

仕方ありませんので、名古屋駅から2時間以上車を走らせ山中にあるその郷土史家の家を直接訪問したのが先週金曜日のことです。
ところが、その家は表札は郷土史家のお名前で掛かっているものの人が居住している雰囲気がありません。

ですので、近所の方に事情をお聞きしてみました。
すると郷土史家の方は既にお亡くなりになり奥様は近隣の病院に入られていると教えてくださいました。奥様は病院に入られているといいましても比較的お元気で話好きだとのこと。古文書の行方は奥様に伺うしかありませんので、また車で1時間かけてその病院に行ってみました。
 
病院に到着してナースセンターで事情を話し、奥様に古文書がどうなったのかだけお聞きしたいと面会をお願いしました。
しかし、今はなにかと厳しく看護師さんは「娘さんに電話をして面会がOKかどうか確認をとりますね」と言ってすぐには会わせてくれません。これも仕方ないところです。

しばらく待っていると看護師さんが戻ってきました。
しかし、看護師さんは「娘さんと電話が繋がりませんのでお会いいただく事は出来ません」と、云います。

では奥様に看護師さんからでよいのでご主人が所蔵されていた古文書がどうなったかだけ確認してもらえませんかとお願いするも、それは出来ませんと云われてしまいました。
そこを何とか…とお願いしているうちに娘さんの方から折り返し病院に電話が入りました。看護師さんは電話で娘さんと話をしてくださった後に私のほうに来てこう伝えてくれました。

「娘さんは丸山さんの手紙を読んだそうです(たまに実家に掃除などに行っているようです)。但しお父様が所蔵されていた資料類は全て処分してしまったそうです」

処分してしまったので手紙を受け取ったものの、どう返事をしてよいか分からず放置してしまったそうで申し訳ありませんと云われていたそうです(直接はお話できませんでした)。

残念な結果でしたが、その古文書が既にこの世に「無い」という事実がはっきりしたことはよかったです。そこが分からないと今後が効率の悪い調査になってしまいますので。

このように、江戸時代前半の家系をその古文書で確認したかった訳ですが叶いませんでした(尤も古文書中に宗門人別帳が含まれているかどうかは不明ですが)。別方法を模索することになります。

実は、郷土史家が古文書を預かったままお亡くなりになり、ご遺族はその重要性が分かりませんので結果として古文書が処分されるというケースが他案件でもあったばかりです。 こればかりはご家族を責めることも出来ません。私もこのような仕事をしていなければ、古い紙の束が大量にあったら処分してしまうかもしれませんので…

このように、先祖探しや地域史にとって重要な古文書が今日も少しずつ失われているのが実状です。ご先祖様のことが記載されている文書が日々散逸の危機に晒されていると思うと、何とも哀しい気持ちになりますね。